よく耳にする「下流老人」とは何か

「下流老人」とは社会福祉士でNPO法人代表の藤田孝典氏の著書のタイトル、その衝撃的な響きから大きな話題になり、下流老人という言葉自体よく耳にするようになりました。藤田氏によると、下流老人の定義とは「生活保護基準相当で暮らす、もしくはその恐れがある高齢者」。そして、この定義に当てはまる人は国内に6、700万人もいるといわれているのです。

別の項目で説明した老後破産におちいっている人が200万人とするならば、下流老人とは老後破産におちいる寸前の人。貯金がマイナスになりかねない人と考えることができるでしょう。

下流老人に陥りやすい3つのパターン

高額な医療費に、生活が圧迫される
医療費の支払いが高額になる、この原因は本人の病気やケガだけではありません。配偶者や子どもが病気になってしまい、介護や看護が長引いてしまうということは珍しくありません。医療費には自己負担額の上限は設けられています。しかし差額ベッド代と呼ばれる個室代や食費、病院までの交通費は対象外、重い負担となり貯金を減らしていき、下流老人へと陥ってしまうのです。

独居老人になってしまった、男性
熟年離婚によって専業主婦だった配偶者と離婚する、こんなことも下流老人になるきっかけです。離婚によって資産と年金を分割されると、それで貯金は一気に半分、年金収入も半分。しかも、仕事しか知らない男性は生活能力が低く、急速に貯金を切り崩していくばかりか、偏った食生活で体調を崩してしまい、要介護状態になってしまうのです。

子どもがワーキングプアや引きこもり
子どもがひどい状態の就労環境にあり充分な収入を得られない、そんなワーキングプアの状態に耐え切れず、引きこもりになってしまう。充分とはいえない年金収入で、このように子どもを養わなければいけなくなると、貯金を取り崩さざるを得ません。多少のたたくわえも底をつき、下流老人となってしまいます。

このように段々と貯金が減っていくと下流老人になり、老後破産へと陥ってしまうのです。どうしようもなくなっているにもかかわらず、行政などに助けを求められない、生活保護を受ければいいのにプライドや罪悪感がジャマをする……こうなってしまったら孤独死などの悲惨な結末まで一直線。その前に、行政やNPOなどに助けを求めることが重要になってくるのです。