老後の資金は、いくら必要なのか?

1,500万円とか3,500万円とか、はたまた1億円とか。老後に必要なお金についてインターネットで検索をかけると、そんな様々な見出しが並びます。どれを信じていいのやら、よくわからなくなりますね。そこで、一つのデータをご紹介しましょう。「老後の生活にいくらくらい必要と考えますか?」こんな意識調査をおこなったのは、公益財団法人の生命保険文化センター。この回答の平均は「月額で最低22万円」、全体の31.5%が20から25万円と答えていたというのです。

月々の生活費の平均は、25万円弱

では、この生活費の内訳はどうなっているのか? 総務省が平成29年2月におこなった「家計調査」によると、リタイア後の夫婦世帯、1カ月の支出総額は24万7,862円、先ほど紹介した25万円と、ほぼ一致する金額です。その内訳は、占める割合が高い順に、

・食費が5万9,952円
・税金・社会保険料が3万5,048円
・水道光熱費が2万6,699円
・交通通信費が2万4,397円
・教養娯楽費が2万1,276円
・保険医療費が1万4,397円
・住居費が1万1,466円……

と続きます。まあ、小遣いや交通費、嗜好品などの「その他」として4万2,993円が含まれてはいるものの、取り立てて贅沢はしていなくても、月々25万円弱の生活費が必要となるのです。

生活費だけあっても、実は不十分
さて、これらの調査の額さえ毎月あれば大丈夫なのか? というところなのですが、これは生活費のみ、それ以外にも老後にはお金が必要となります。何か重い病気にかかった場合の医療費は、先程の1万数千円ではとっても足りません。また、介護が必要となった場合の費用は月に8万円必要とかいわれていますし、そのために家をリフォームするなら、また別途まとまった金額が必要となるのです。

家にガタが来たならば、介護以外でもリフォームをしなければなりませんし、車には維持費がかかるばかりか、数年に1度は入れ替えてやらなければなりません。他には、子ども世帯に援助をしてやったり、孫にお祝いを与えたり……生活費以外にもお金は何かとかかるのです。

老後の平均貯金額はどれぐらい?

老後の夫婦が毎月必要とする金額は25万円、そのうち年金でまかなえるのはいくらなのか? 医療費や介護費、リフォーム費用などはどうやって支払えばいいのか? 生活費の不足する分や、それ以外の費用は、当然、今まで蓄えた貯金や貯蓄を切り崩していくことになります。

ならば、老後世帯の平均貯金額はどれくらいでしょうか? 平成25年におこなわれた厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、60歳代の貯金・貯蓄の平均額は約1,399万円となっていますが、70歳代では1,317万円と減っています。老後世帯が貯金・貯蓄を切り崩しながら生活しているという実態が見えてくるのです。

同時にこの貯金額を見て思うのが「本当にみんな、これだけたくさん持っているの?」という疑問。現在の60代・70代といえば、まだ退職金制度が残っていたり、企業が業績好調の内にリタイアできた世代です。それより若い世代が60代・70代になった時に、同等の貯金額があるのかどうかについては、はなはだ疑問としかいえないのです。